米国VIベアは米国VIや米国VIブルと比較して取引規制が行われることは少ないです。
また、インバース型の銘柄であるため、VIXショートを行う際は米国VIや米国VIブルとは異なりロングポジションを保有することになります。
本記事では、米国VIの値動きについて深掘りして戦略を紹介していきたいと思います。
なお、考察にあたって各値は米国VIベアの参照原資産であるSVXYの値を使用しています。
米国VIベアを使用したVIXショート戦略
基本方針
米国VIベアはコンタンゴの影響で基本的には右肩上がりに価格が推移していくため、基本的にはロングポジションを保有することになります。
しかし、VIXショックやコロナショックのような大きな金融危機が発生すると非常に大きな急落が発生するため、長期で保有するにはリスクがあります。
そのため、米国VIや米国VIブルに取引規制が発生した際の代替え手段として一時的に使用することが良いかと思います。
米国VIベアの値動き
過去の値動きは以下の通りです。
年 | 始値 | 終値 | 変動率 |
---|---|---|---|
2012年 | 25.86 | 66.16 | 155.84% |
2013年 | 66.16 | 135.00 | 104.05% |
2014年 | 135.00 | 122.81 | -9.03% |
2015年 | 122.81 | 101.63 | -17.25% |
2016年 | 101.63 | 182.46 | 79.53% |
2017年 | 182.46 | 509.29 | 179.12% |
2018年 | 509.29 | 42.36 | -91.68% |
2019年 | 42.36 | 65.63 | 54.93% |
2020年 | 65.63 | 41.42 | -36.89% |
2017年の上昇には目を見張るものがありますが、それ以上に2018年の下落が衝撃的ですね。
なお、急落発生時の値動きをピンポイントで確認すると、以下のようになります。
・VIXショック時(2018年2月5日)
始値 :414.92
終値 : 15.85
変動率:-96.18%
また、2020年のコロナショック時も1カ月程度で50%以上の急落をしています。
過去から読み解くロスカットレートの目安
過去の実績でも96%以上の下落が発生する可能性があるため、ロスカットレートとしては設定できる下限で設定しておくことが良いと考えます。
リスクについて
ロスカットレートを設定できる下限で設定しておくことでロスカットされる可能性はほぼ無いと思いますが、あまりに急激な下落が発生した際にSVXY自体が廃止(早期償還)になる場合があります。
早期償還になった場合、ロスカットレートに達していなくても銘柄自体がなくなるためそこで全て決済されてしまうことになります。
VIXショック時には実際に早期償還となってしまったETNもあるため、本リスクについては現実的なものとして認識しておく必要があります。
米国VIブルでの取引について
米国VI、米国VIブルの代替えとしての考え方
本銘柄では致命的な下落や早期償還のリスクがあるため、米国VIや米国VIブルが取引規制中にのみ買い増すことを基本として、保有しているポジションについては早い段階で利確し、投資資金を米国VIや米国VIブルへ移していくべきと考えます。
また、いっそのこと米国VIベアを使用するのはコロナショックのように米国VIや米国VIブルが長期間取引停止となるような場面のみに限定し、それ以外の単発での取引停止発生時では代替手段としても使用しないという考えでも良いかもしれません。
暴落リスクを受容した「宝くじ銘柄」としての考え方
暴落のリスクを受容して米国VIベアで長期投資を行う場合は、購入して放っておくだけで複利の効果で大きなリターンを期待することもできます。
※米国VIや米国VIブルで複利運用を行うには都度メンテナンスが必要です。
私としては長期間暴落リスクを受け入れ続けることはできないため、このようなギャンブル的な投資はおすすめしませんが、暴落が発生した場合はハズレ、暴落が発生しなかったら当たりと考えて、米国VIベアは「宝くじ銘柄」と呼ばれることもあります。
まとめ
米国VIベアはVIXショック時には96%以上もの下落が発生していることや、早期償還のリスク等、制御しきれないリスクがあるため、長期保有はおすすめできません。
米国VIや米国VIブルの代替手段として使用することに留め、その場合でも早い段階でポジションを解消するのが良いと考えます。
また、投資という観点ではおすすめはしませんが、暴落リスクを受容して宝くじを買うイメージで長期保有による手軽な複利運用を行う考え方もあります。
なお、おすすめは米国VIや米国VIブルを使用したVIXショート戦略になります。
それぞれ以下の記事で紹介していますので、是非参考にしてみてください。
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